国立水俣病総合研究センター
(平成22年5月9日)
1. メチル水銀摂取状況調査
1) 夏季調査の結果、対象者の毛髪水銀濃度の幾何平均値(最小−最大)は、男11.0 ppm(0.74 ppm−139 ppm)、女6.63 ppm(0.61 ppm−79.9 ppm)であった(国内14地域の幾何平均値(最小−最大)は、男2.47 ppm (0.10 ppm−40.6 ppm)、女1.64 ppm (0.01 ppm−25.8 ppm))。
2) 夏季調査の結果、神経症状の出現する可能性のある下限値とされる毛髪水銀濃度50 ppm(WHO)を上回る住民が、対象者の3.1%、32名(男26名、女6名)にみられた。
3) 冬季調査の結果、対象者の毛髪水銀濃度の幾何平均値は、男11.2 ppm、女6.46 ppmで、夏季調査と比べて大きな違いはなかった。夏季または冬季調査のいずれかで50 ppm以上の住民は3.8%、43名であった。夏季調査と重複した対象者においては、冬季には毛髪水銀濃度の増加傾向がみられた。
4) 毛髪水銀濃度とクジラ類を食することの関連性が示唆された。
]]>プレス・リリース: 2010 年1 月27 日
ジュネーブ・東京発: 今週WHOとFAOは、魚の消費に伴う健康リスクについて専門家協議会を行ないますが、環境保護団体の連盟に後押しされて、初めて、汚染された鯨類(クジラ・イルカ類)の肉及び脂肪の消費に関わる健康リスクを取り上げます。
ここ10年間、人間の消費用に市場で販売されているクジラ・イルカ肉には極めて高濃度の水銀、PCB、その他の 有害物質が含まれていることを明示する数多くの科学的な発見が公表されてきました。この間、科学者たちは、鯨類の肉の消費と数々の人間の病気のあいだには強い相関関係があることを発見しました。こうした病気にはパーキンソン病、動脈硬化症、免疫系抑制、高血圧症が含まれています。また、子供たちへの脅威としては、自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害が含まれます。
日本では年間に20,000 頭近い歯クジラ類と1,000 頭を超える大型のヒゲクジラ類が捕殺され、消費されています。歯クジラ類は主に、複雑な海洋の食の仕組みの上位において捕食しています。このため、特に高レベルの有害物質を体内に蓄積すると思われます。ヒゲで餌を濾してとりいれる種であるミンククジラは、一般に食の仕組みの下位で捕食します。しかし、ミンククジラもまた、日本が定めた安全限度の数値を超える水銀やPCBを蓄積している可能性があることが分かっています。
「圧倒的多数の科学的発見によって、鯨類製品が人間の健康に害を与える危険性があることが示されているにもかかわらず、鯨類製品は日本中でいまだに販売され、日本の学校の中には義務的な学校給食プログラム用に鯨類製品が配分されているところもある」と、鯨類捕獲とそれに伴う健康リスクを懸念する国際的な団体連盟のコーディネーターを務める「環境調査エイジェンシー」のクレア・ペリーは述べています。
日本の非営利団体である「エルザ自然保護の会」の辺見栄は、「日本政府は鯨類製品の販売を中止し、また、消費者に対して、こうした健康上の危険性を適切に伝える時がきています。これまでのところ日本市民の90%余りの人々は、こうしたリスクに気づいていません」と言っています。
日本の科学者はつい最近、新しい調査結果を発表しましたが、それによると、日本(和歌山県)の「クジラの町」太地町の住民に蓄積している水銀値は、日本での平均値の25倍です。2009 年11 月には、汚染された鯨類製品の販売禁止を求めて、日本の消費者、食の安全に関わる団体及び国際的な環境保護団体による共同書簡が、鳩山由紀夫首相、福島瑞穂内閣府特命大臣(消費者及び食品安全・少子化対策・男女共同参画担当)宛てに送られています■
詳細情報及び映像に関する連絡先:
Sakae Hemmi, ELSA Nature Conservancy, Japan (エルザ自然保護の会)
chimarin@mtj.biglobe.ne.jp, Tel. +81-29-851-1637(国内:029-851-1637)
Clare Perry, Senior Campaigner, EIA
clareperry@eia-international.org Tel: +34 971510046 / +34 664348821
Dr. Sandra Altherr, Pro Wildlife
Sandra.altherr@prowildlife.de Tel: +49 89 81299-507
Sigrid Lueber, President OceanCare,
slueber@oceancare.org Tel: +41 79 475 2687
Dr. Birgith Sloth, Society for the Conservation of Marine Mammals
Beeco11@yahoo.dk , Tel: +45 20890439
Andy Ottaway Campaign Whale
andyo@campaign-whale.org, +44 1273 471403
Sue Fisher, Whale & Dolphin Conservation Society
sue.fisher@wdcs.org, +1 508 746-2522
編集者注
日本における歯クジラ・イルカ類の汚染については、下記の出版物を含めて広く入手可能です。